日本政府に対して、国際的なイニシアチブGCPCに参加し、世界的な炭素価格導入に向けて行動することを求めます

日本政府に対して、国際的なイニシアチブGCPCに参加し、世界的な炭素価格導入に向けて行動することを求めます

日本政府に対して、国際的なイニシアチブグローバル・カーボンプライシング・チャレンジ(GCPC)』に参加し、世界的な炭素価格導入に向けて行動することを求めます

 

 

野田浩平(市民気候ロビージャパン代表)
マリン・チャベイリアット(市民気候ロビーフランス代表)
キャシー・オーランド(市民気候インターナショナル、市民気候ロビーカナダ代表)

5月13日、岸田総理はGX実行会議の中で従来のGX推進戦略を改定し、GX2040ビジョンとして示すと発表しました。論点の一つは、カーボンプライシングの詳細制度設計(2026年度からの排出量取引の参加義務化や特定事業者負担金および化石燃料賦課金の水準設定等)です。いずれも社会的インパクトが大きいため、これまで慎重な検討が重ねられ、ようやく導入されることになったものです。一方、世界では、先進国だけでなく、中国、韓国、シンガポール、タイ、インドネシアなどアジア諸国でも炭素税や排出量取引が導入され、EUでは、域内産業の流出を防止するため貿易における公平な炭素価格の負担を担保する国境炭素調整制度(CBAM)が2026年から本格的に導入されることが決まっているなど、カーボンプライシングの導入拡大や制度の進化が進んでおり、日本も導入を加速するべきです。私たちは、日本が国際社会でリーダーシップを発揮するために、カーボンプライシングの国際的なイニシアチブに参画し、世界全体の取り組みを促す立場になるべきであると考え、COP26でカナダがスタートさせた『グローバル・カーボンプライシング・チャレンジ(GCPC)』に日本政府が参加することを求めています。

現在、世界では52 カ国において炭素税や排出量取引といったカーボンプライシング制度が導入されています。世界の排出量全体に占める割合は約24%です。
https://carbonpricingdashboard.worldbank.org/ 

気候変動は、地球規模で対処しなければならない脅威であり、GCPCはまさに世界各国の連帯と行動を目指しています。COP 26 で開始されたこのイニシアチブは、ますます多くの国々を結集させています。2024 年4月11日にはフランスが37 番目の参加国となり、直近では、5月7日にカザフスタンが38カ国目の参加国となっています。まだイニシアチブに参加していないG7参加国として、日本、米国、イタリアはこの呼びかけに呼応し、世界を団結へと導くときが来ています。
https://twitter.com/s_guilbeault/status/1778523590981501347
https://x.com/environmentca/status/1788549825845236207

このイニシアチブは、カーボンプライシングの導入に関する世界的な取り組みを促進することを目的としています。そのビジョンは野心的でありながら現実的でもあり、2030年までに炭素価格を設定する国や地域を世界の排出量の60%に拡大することを目指しています。このイニシアチブは、各国の単独行動を求めるのではなく、世界中の様々な国や地域のパートナーとの連帯・協調を促しています。
https://www.canada.ca/en/services/environment/weather/climatechange/climate-action/pricing-carbon-pollution/global-challenge.html

このイニシアチブの参加国には、カナダの他に、チリ、デンマーク、ドイツ、EU、ニュージーランド、ノルウェー、韓国、スウェーデン、英国が含まれます。参加国は、カーボンプライシングを積極的に導入している、または導入予定の国です。一方、このイニシアチブには友好国として名を連ねることもできます。例えば、コートジボワールは、現時点ではカーボンプライシングを導入していませんが、国内外を問わず、カーボンプライシング制度の必要性を認識し、コミットメントを表明しています。このイニシアチブに参加することで、気候変動の緩和に向けた一歩を踏み出すことができるのです。
https://www.globalcarbonpricingchallenge.org/ 

このイニシアチブを立ち上げたカナダでは、カーボンプライシングで化石燃料による汚染に課金し、この税収の90%を国民に均一に直接再配分する政策を実施しています。富裕層ほど化石燃料を多く消費するライフスタイルであるため、全世帯の80%でカーボンプライシングによって増加する支出よりも大きな再配分を受け取っており、脱炭素社会へのスムーズな移行を後押ししています。このアプローチは、28人のノーベル賞受賞者を含む3,600人以上の経済学者から幅広い支持を集めています。 

https://www.econstatement.org/
https://www.eaere.org/statement/
https://ecofiscal.ca/2024/03/26/open-letter-carbon-pricing/

(2024年5月4日初稿、6月4日修正稿)